前社長が社長を辞めて、
唯一の株主として、
『経営者』になって、1年半が経つ。
どうやら、
最初は、次の社長に会社を引き継いだら、
業績が落ち込むと思っていたらしい。
税理士事務所の事務員さんから聞いたんだけど、
「業績が悪かったら、会社をたたもうと思う」
と、税理士の先生に話していたらしい。
そんな風に思いながら、
現社長に会社を引き継いだって聞いて、
正直、ひどいなあと思ってる。
そんな前社長の予想に反して、
新社長の初年度の売り上げは、
前年に対して８割だったものの、
経費などの支出が少なく、
利益は前年と変わらないくらいだった。
それを知った途端、
「利益が出たなら、
株主に対して、配当金を支払って欲しい。」
と、金銭的な要求をして来たし、
家賃の値上げも行われた。
さらに、
この間から、
前社長が現社長に対して、
「社長を辞める時は、
会社の後始末もしてもらう。
その後で、
もしもお金が残ったら、
退職金代わりに持って行けば良い。」
とか
「会社の土地と建物を譲る代わりに、
譲渡の際の所得税を肩代わりして欲しい。」
なんて提案をしたものの、
現社長から断られ、
それ以来、会社にあまり顔を出さなくなった。
前社長の言動の理由は、
前社長の頭の中にしか無いので、
よく分からないけれど、
こちらからすれば、
あれやこれやと理由をつけては、
金銭的な要求をしてきている様に見える。
その一方で、
もう少し便利で広い場所への引っ越したいという
私たちからの要望に対しては、
「会社の規模を大きくする必要などない。
会社の資産を減らすことは認められない」
と一蹴されてしまった。
新しい社長に会社を引き継いだ立場なのに、
「会社の規模を大きくするな」
なんて言葉を、
口に出して言った事に、
私は、驚いたし、呆れてしまった。
さらに、
自分自身は、
配当金や家賃と言う形で、
前年よりも会社から報酬を受け取っているにもかかわらず、
「会社の資産を減らすな」
なんて、
どの口が言ってるんだって感じだ。
さらに、
社長の頃は、
部品在庫を、
「１年分くらいは持っておけ」
と、
やたらと多めに仕入れていたのに、
今は、
「必要最低限の在庫数に抑えろ」
と、
真逆の意見に変わってしまった。
ここまで来ると、
会社がお金を使う事が気に入らないんじゃないか
って思えて仕方ない。
前社長は、
今年で７５歳だから、
年金をもらう年齢だ。
そういう年代になってみると、
金銭面で心配になってくるんだろうか。
それとも、
自分の起ち上げた会社だからこそ、
『自分のモノ』という気持ちが強いんだろうか。
何はともあれ、
「今のままで、
会社を大きくするな。」
と言われた前社長は、
やる気出ないだろうな。
私だって、
「会社は株主の私のモノだから、
損金を出すことは許さない」
なんて言われて、
仕入れ業がやりにくくて仕方ない。
自分の起こした会社だから、
費やした時間やお金も多い事だろう。
だからこそ、
元を取りたいって気持ちなのかなあ。
そんなこんなで、
現社長は前社長に対してあきれ返っているし、
前社長は思い通りに動かない現社長に対して、面白くないみたい。
次の代に受け継いでいくって、
難しいもんなんだなあ。
